Evidence

明日、午前中、入野の「ツインギャラリー蔵」さんで出張講座。
午後は、準備が出来次第、実家の刈谷へ。あさっての研修のために帰ります。

土曜日は名古屋の業者主催のステンドグラスの技術講習がある。
刈谷からはJR-地下鉄-名鉄を乗り継いで一時間ほど。

めったにないの機会なので参加。全国から8名が集まるらしい。
今日、その業者さんの担当者と話をしていたら、すべて女性。私が一番若いらしい。。。
足を引っぱらないようにせねば。。。

昨夜、研修の前準備として自分が今までパネルを作ってきて、経験値に任せていたところ、あいまいなところの洗い出し作業を行った。ノートに23項目もあがってきた。
カテゴリー別に分けて、もう少し、効果的に質問できるように整理しよう。
今までの確認作業も兼ねての参加ではあるが、おや?って思うことが結構たくさんあった。

ステンドグラスの世界は国家資格のような資格制度ではない。
簡単に言ってしまえば、誰でも工房を構えることが出来る。
私はまだステンドグラスをはじめて15年目にはいったところ。まだまだ、ひよこ。
年数が長けりゃいいってもんでもない。

「工房」とは名ばかりで、自宅の一室でチマチマと作ってる場合もある。
それとは反対に工房があり大勢の生徒を抱えていても、あれ?基本ができていない。。。と思うこともしばしば。他の工房からの「流れ組」の生徒さんの言葉や行動からわかる。

私は工房を始めた時、とても安易な気持ちで始めてしまった。
当時、体調がすぐれなかった私は「体調が良くなるまでのつなぎ」と考えていたからだ。
ステンドを長くやっているオバサマ方や他の工房の先生方からものすごいバッシングを浴びた。直接的に間接的に。同じ人、数人が、あちらこちらで私のことを言いまわっていた。
「あんな素人が何ができるの?」、「小物のすずらんさんね、あそこで習っていても小物しか作れないわよ」、「あんなところにお店を借りて、つぶれるのは時間の問題よ」、「あなたはいいわよね、ステンドがダメでも本業(看護師)があるんだから」などなど。。。ほんとうにたくさんのバッシングや嫉妬のようなものをひしひしと感じた。
でもそれらの言葉は、元来の私の負けず嫌いに火をつけた。

そんな中、浜松では“大御所”とささやかれている先生から
「藤田さん、お月謝をいただくということはどういうことか解る?それだけの技術が伴わないとダメなのよ。販売する、ということも同じ」と面と向かってハッキリといわれた。

とても有難い言葉だった。

ネット販売が横行している昨今、作って、ネットに載せてしまえば販売できるのだ。
安上がりの技術習得で、あちこちで委託販売をしている人もいる。まぁ、それはそれでよしとするが、本物の技術には根拠が伴っているものでなければならない、と私はおもう。
それなりの投資も必要である。安上がりの投資で簡単にステンドの世界に身をおこうと思ったら大間違いである。そういう世界ではない。
頭でっかちになる必要はないが、ちゃんと総合的にこなせなければ、所詮、見た目のちょっといい“趣味の世界”、“自己満足の世界”で終わってしまう。
とてもプロとはいえない。
販売をする、講習をする、教室をする、ということは そういうことだ。
バッシングされて当然だった。

資格制度を持たないステンド業界では、プロとしていかにやっていくか、これまでの実績や経験が大きく問われる。
職人としての技量、知識、姿勢が問われる。
人としても、人格が問われる。
厳しいことも言われるし、無礼な業者、非常識な人もたくさんいる。そうした波も超えていけるだけの度量も身につけないといけない。

医療現場にいた頃は私費で学会にもよく行った。
一回の学会で交通費、宿泊費、学会費などで給料の3分の1が消えた。
ステンドの世界もそう。

EBM(Evidence-Based-Medicine)ならぬ、
EBS(Evidence-Based-Stained glass)である。

「経験に勝る知識なし!」ですね。
もっともっと、ステンドのこと勉強しよう!

では、行ってきま~す♪


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この記事へのコメント
こんにちは~
“あんなとこ”で教えてもらってるbibiです(笑・チクッ)
きれいなガラスに似合わない、なかなかキツイ世界ですね
大御所様の言葉、言ってもらってよかったですね
いい人に出会えましたね
それを受け止められたセンセもさすが、Ns ^m^

自分の転機となった言葉、私にもありました
石橋を叩いちゃう性格から、要領よく仕事をこなせなかった新人の頃
ある女医さんが「ああいうタイプは伸びるわよ」と
他のDrたちに言ってくれてたそうなんです
何年も経ってから、それを聞かされて・・・うるうるでした。

そんな経験から・・・
私もできるだけそれを言葉にしてあげようと心掛けています。
できるだけ・・できるだけ・・・
努力してる姿が見えるなら、失敗も許してあげましょう。。。
ただし、言いわけするようになったらキレますけど。。。

あ・・私はセンセのような教室のスタイル好きですよ~
来月もたのしく過ごしましょう♪
センセは、そんな生徒たちにハラハラどきどきしてるのかもね?
Posted by bibi at 2007年05月18日 15:27
私たち建築士の世界も似たような事あるかも・・

売れるため、仕事を沢山得るために
本筋を外すような事はしたくない

本物はきっと残る。。。

そう信じて頑張りたいと思ってます

お互い切磋琢磨、日々精進
時には思いっきり息抜きして
頑張っていきまっしょ!!ね
Posted by at 2007年05月18日 20:31
いろいろ書いてみましたが、言いたいことがうまくまとまらなかったので消しました。「じゃあ書くな。」と言われそうですが、まさえさんの文章に感動して何かを残しておきたかったので別のことを。

昔、勤めていた会社での上司の一言。
(ちなみにこの人はすばらしい技術者で且つ経験も豊富な人です)

   「プロだから許されるこの妥協」

解説すると、

アマチュアなら1つのことを自分が納得いくまで時間をかけて作ることが出来るが、
プロの場合他にもいろいろ仕事があり、しかもそれぞれに納期があるのでそこまで手間をかけていられない。(もちろんプロレベルの一定水準以上のものであることは大前提)
Posted by 葛谷 at 2007年05月18日 21:53
正恵ちゃん、昨日は忙しい所お邪魔してごめんね(^^:)今日は名古屋ですね。
ステンドの世界も厳しいね・・、資格がどうのと言う事の無い世界と言う点では、絵画と言うか、芸術分野は一緒ですね。
美大を出るからどうのでもなく、高名な先生に付いているからどうのでも無い。言い換えれば、自分一人の世界が広がっていて・・。
厳しいからやる価値があって、やる価値があるから表現して行く。
でも、どんな時も自分自身を失わずにやって行ければ、必ず「進む道」が見えてくるものだと、うちでは旦那様を見ていて思いました。

石鹸取りに伺った日に、とても尊い仕事をされている女性に行き会いました。
「今出来る事をさせていただいているだけなんです、それが私に与えられた道だと思うから」と。
私達は、今やれる事を一生懸命やるだけなんだよね。うん、きっとね。
葛谷く~ん、6月はアトリエに遊びにおいでよ~!
Posted by Maisan at 2007年05月19日 01:07
正恵ちゃんが言われた言葉は、そのまま今の私にも言えること。
「プロ」の定義も資格もない世界だと、常に自分を見直していかないと
ゆらゆらしてしまう。
わたしもまだまだひよっこ。というよりたまご。
お互い奥のふか~~~~い世界に踏み込んでしまったね。

きりのない世界だけど、それがまた魅力でもある。
好きだから勉強も楽しいし、やっていける。
自分を信じて続けていくしかないものね。

葛谷さんの言葉も凄くよくわかるけど、やっぱりそれが言えるように
なるのは私の場合まだまだ先かな~。
Posted by としこ at 2007年05月19日 16:17
友人の接骨院開業者も言います・・・
「在学中に資格取れれば卒業と同時に、ハイ開業!」
肩書きだけが全てじゃないネ・・・と

自分の業界も資格はありません。
生活を懸けて10年・・・
趣味レベルで25年・・・
肝心なとこは、自分との戦い・・・
日々勉強ですネ♪
Posted by 和の森 at 2007年05月19日 22:33
★bibiさん

こんばんは~。こんなとこ(チクッ、、、)で教えている藤田でっす!
浜松のステンド業界は、そういったところがあります。
先生方の“キャラ”なのかもしれません。
ブルジョアっぽい人が多いので、私のようなブルジョアでない人がフツーに工房を始めてしまったことに対するある種、なんだろ~、うまく表現できないけど、、、そんな“意”が込められていたように思います。
でもさっ、あの医療現場で耐えられた人間はどんなとこに行っても“つぶし”がきくような気がしませんか?だって尋常な鍛えられ方ではないでしょ?
ナースのお仕事を本当の“仕事”の基準として考えてしまうクセがあるので、私の今のお仕事は、なんだかぬるま湯、って気がしてしまいます(こんな言い方、ステンドを仕事にしている人には失礼だけど)。

★結さん

「本筋をは外すようなことはしたくない」、本当にそうですね。
仕事だけでなくて、仕事でかかわる人間関係にも言えることです。。。
ふだん、私はあまり腹を立てないほうなのですが、
立場をわきまえず、非常識な振る舞いをする人たちがいて、恩を仇で返されたようなとても残念な気持ちになりました。
そういう人たちもいるんだなぁ。。。と、逆に勉強させてもらいました。
お人好しすぎるのも考え物。そういう人たちには、お人好しの自分でいなくて良いんだナ、と思うようになりました。
日々、研鑽です。
おもっいっきり遊んで、おもいっきり仕事!です♪(遊びが先に来てしまう、わたし・・・アハハ)

★葛谷さん

葛谷さん、せっかく書いたものを消さなくてもよかったのに~。
葛谷さんの言葉、とってもよくわかるよ。
前も労美の炎さんが同じようなことをおっしゃっていました。
“アマチュアだから「賞」がもらえるんだ”、って。
プロは限られた時間の中で、それを生み出す能力をもたないといけない。でもアマチュアは納得のいくものを時間をかけて作ることができる、、、みたいなことを。

★Maisan

「今できることをさせていただいている・・・」、ほんとうに、そう。
「している」のではなくて「させていただいている」という、その気持ちが大切なんだと思う。私もその女性と共通したことをしていました。
綿花をつめて、ゆかんをして、旅立ちのお洋服や着物を着せてあげて、お顔をきれいに産毛を剃って死に化粧をしてあげました。ご家族と一緒に。
死斑はあっても、まだ温かいんだよ。最後の温かさ、体温を触れてもらいたくて、できるだけ私はご家族と一緒に湯かんをしました。心臓も呼吸も止まった体を抱きかかえるように支えると、ご家族みんなが代わる代わる背中や腰を拭いてくれたりしました。医療の現場ではエンゼルケアといいます。年間140名ほど亡くなる現場で約五年間。私は何十人の旅路のケアをしたんだろう。。。
目の前にあること。今はそれがガラスや生徒さん、業者さんに変わったけれど、今出来ることを一生懸命やっていこうとおもう。。。

★としこさん

自分でやる、ということは常に自分を律していないと、いくらでもサボることもできてしまう。私はたぶんじっとしていられない性分。でもナマケモノ。
じっとしていられない部分は、インテリア関係の自営業で昼夜なく働く両親の背中を見て育ったせいかもしれない。。。でも、死んだように一日中でもコ゜ロコ゜ロとできてしまう(笑)。

作る事に関しては本当に奥の深~い分野だね~。
私は、もっともっと勉強しなくちゃ。今日の研修でとても刺激になったし、自分が他の先生方と比べてとの位できるのかも少し理解できた。
みんな立派に工房を構えている先生方ばかりだったけど、予定の時間では終わらずに7時近くまで研修。予定の2時間オーバー。
名古屋から刈谷に帰ったのは8時すぎ。どっぷり丸一日でした。
今日も刈谷にもう一泊です。心地よい疲れです。
明日、阿多古、よろしくおねがいしますm(_ _)m すみません・・・。
Posted by すずらん 藤田 at 2007年05月19日 22:40
★和の森さん

やっさんも職人だから、そのあたりのこと、わかってもらえる人ですね。
ほんとうに肝心なことは「自分との戦い」ですね。
もっともっと頑張ろう、っておもった技術研修でした。
行ってヨカッタ♪
また浜松に帰ったら、アップしますね。
Posted by すずらん 藤田 at 2007年05月19日 22:47
心意気 共感します

自己投資して さらに良くなっていくための努力はとても大切ですね
頑張っていらっしゃる姿を見習い、応援したいと思います♪
Posted by みるくえっせんす at 2007年05月20日 20:39
★みるくえっせんすさん

応援、ありがとうございます。ブログにも紫のテーマでアップ、ありがとうございました。
物販のプロ、飲食のプロ、ものづくりのプロ、その他のプロ。その形はさまざまですね。
どの分野にも「大切にしなくちゃいけないもの」があります。
私はそこを妥協したくない、と思います。
うわべだけの人は何となくわかっちゃうもん。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします♪
Posted by すずらん 藤田 at 2007年05月20日 21:10
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